一般社団法人
埼玉県在宅福祉事業者協議会

会長 梅田 成道

一般社団法人埼玉県在宅福祉事業者協議会は、介護保険制度が施行される2年前の1998年に埼玉県在宅福祉事業者連絡協議会として活動を開始しました。

その頃の在宅介護は、現在のそれとは様相が異なりました。当時は行政が介護サービスを利用する対象を決め、サービスの種類や量、提供する事業者まで決定する措置制度で運用されていました。支援事業者も社会福祉法人が中心であり、その供給キャパシティは、決して十分なものではありませんでした。 高度経済成長期のように高齢者人口の割合が小さく、家族が介護をするのが当たり前だった時代は機能しましたが、少子高齢化や核家族化が進んでいく中で様々な問題が健在化するようになったのです。在宅で介護を必要とする高齢者に十分な支援が行き届いていたとは言い難い状況でした。

だからこそ、発足時に私たちが掲げた目標は「埼玉県民が等しく必要な介護サービスを受けられること」そして「安心して老いられる社会」を実現することでした。

2000年に介護保険制度が施行されて以降、その目標へ着実に進むかに見えました。民間企業をはじめ多くの介護事業者が誕生し、ほぼ全ての高齢者が公的な介護を受けられる時代になりました。 しかし、当時はそこまで想定されなかった新たな問題に直面し、今なお困難な状況にあると言えます。それは、高齢者の5人に1人と言われる認知症の増加であり、高齢者の単身世帯・老老世帯の増加であり、慢性的な介護従事者の不足などです。
加えて、埼玉県は全国でも高齢化率の非常に高い県です。これらの諸問題は、今後ますます顕著になっていくことが想像できます。

これから増加していく介護を必要とする高齢者を、公的介護の仕組みだけで支援することは、おそらく難しくなるでしょう。であれば介護を全て国任せ、他人任せにしてしまうのではなく、一人ひとりが家族を支え、地域を支える介護ができるよう取り組んでいくことが大切だと考えます。

2021年6月に、一般社団法人埼玉県在宅福祉事業者協議会として法人化を果たしました。掲げた目標は、発足当時と同じく 「埼玉県民が等しく必要な介護サービスを受けられること」そして「安心して老いられる社会」を実現することです。
私たちは、介護に携わるものとして、行政や関連団体と協力しながら率先して問題解決に取り組んでいきます。そして、私たちの生活する埼玉県が、これからも高齢者に優しく住みよいまちであり続けられるよう微力ながらも貢献していく団体でありたいと考えています。